NXNSAttackとは?DNSの仕組みを悪用した攻撃について

はじめに

インターネットの普及に伴い、サイバー攻撃はますます巧妙化・複雑化しています。中でも、近年注目されている攻撃手法の一つに「NXNSAttack」があります。この攻撃は、DNSの脆弱性を突いて、標的のDNSサーバーに大量のクエリーを送りつけ、サービスを妨害するDoS攻撃です。

本記事では、あらゆるユーザーに有益な情報となるようNXNSAttackを解説します。セキュリティーに関心のある方、DNSサービスの構築者・運用者など、NXNSAttackの詳細を知りたい方を対象としています。

NXNSAttackとは?

NXNSAttack(Non-eXistent domain Name Server Attack)とは、DNSの委任の仕組みを悪用したDoS攻撃です。

NXNSAttackでは、攻撃者は存在しないドメイン名に対するDNSクエリーを意図的に発生させ、標的のDNSサーバーに大量のクエリーを送りつけます。これにより、標的のDNSサーバーは過負荷状態になり、サービスを提供できなくなる恐れがあります。

DNSプロトコルは、再帰的問い合わせと呼ばれるメカニズムに依存しています。再帰的問い合わせとは、DNSサーバーが自身で解決できないクエリーを、他のDNSサーバーに問い合わせて解決する仕組みです。NXNSAttackは、この再帰的問い合わせの仕組みを悪用し、偽のDNSサーバーにクエリーを誘導することを指します。

攻撃の流れ

NXNSAttackの流れは次の通りです。

  1. 攻撃者は、自身の管理ドメイン名(例:attack.com)を取得し、権威DNSサーバーを用意します。
  2. 攻撃者は、自身の権威DNSサーバーに、攻撃対象のドメイン名(例:example.com)に偽のサブドメイン(例:non-existent1.example.com、non-existent2.example.com、…)のNSレコードを大量に登録します。これらのNSレコードは、実際には存在しないドメイン名です。
  3. 攻撃者が準備したattack.comのドメイン名に対するDNSクエリーが発生します。
  4. 再帰的な名前解決の過程で、フルサービスリゾルバーは攻撃者の権威DNSサーバーから大量の偽のNSレコードを取得します。
  5. するとフルサービスリゾルバーは、攻撃対象のDNSサーバーに偽のNSレコードを大量にクエリーします。
  6. 攻撃対象のDNSサーバーとフルサービスリゾルバーは過負荷状態に陥り、サービスを提供できなくなります。

NXNSAttackの対策方法

NXNSAttackからシステムを守るためには、DNSサーバーの管理者が対策を講じる必要があります。

レート制限

DNSサーバーに大量のクエリーが送信された場合に、クエリーレートを制限することで、過負荷状態を防ぎます。特定のIPアドレスからのクエリー数を制限したり、クエリーの種類ごとに制限を設けることで、攻撃の影響を軽減することができます。

NSドメイン数の制限

DNSサーバーから受け取るNSドメイン数の上限値を設定することにより、フルサービスリゾルバーからDNS権威サーバーへの問い合わせ数を制限できます。

DNSSECの導入

DNSSEC (Domain Name System Security Extensions) を導入することで、DNSデータの正当性を検証し、偽のDNS情報の使用を防ぎます。DNSSECは、DNSデータにデジタル署名を付与することでデータの改ざんを検知することができます。

ソフトウェアのアップデート

DNSサーバーソフトウェアの脆弱性を修正するために、最新バージョンにアップデートする。ソフトウェアの開発元は、発見された脆弱性を修正するためのアップデートを定期的に提供しています。最新バージョンにアップデートすることで、既知の脆弱性を悪用した攻撃を防ぐことができます。

NXNSAttackの最新動向

近年、DNSサーバーに対する攻撃は増加傾向にあり、NXNSAttackもその一つとして注目されています。攻撃者は、より巧妙な手法を用いてDNSサーバーを攻撃しようと試みており、最新の脅威情報に注意する必要があります。

DDoS攻撃との組み合わせ

NXNSAttackは、DDoS攻撃と組み合わせて使用されるケースが増えています。DDoS攻撃によって標的のDNSサーバーに大量のトラフィックを送りつけ、NXNSAttackによってDNSサーバーの処理能力をオーバーロードさせることで、より効率よくサービスを停止させようと試みます。

標的型攻撃

特定の組織を狙った標的型攻撃にNXNSAttackが利用されるケースも確認されています。攻撃者は、標的の組織のDNSサーバーをNXNSAttackで攻撃しサービスを停止させることで、業務影響や株価低下など負の影響を与えます。

まとめ

NXNSAttackは、DNSの脆弱性を突いた危険な攻撃手法です。DNSサーバー管理者とユーザーの両方で適切な対策を講じることで、被害を未然に防ぐことができます。

本記事で紹介した対策方法を参考に、NXNSAttackから身を守り、安全なインターネット環境を構築しましょう。

XACK Tester製品ページ


XACK製品一覧



課題抽出やどの製品を選定すればよいかの整理からご相談ください

システムの新規構築や更改にお悩みのお客様もお待ちしています。
現状の課題抽出や要件の整理、解決に導くための機能紹介やシステム
構成まで、アプライアンス・ソフトウェア問わずご提案します。